取得する動機としては、自宅を新築する機会に恵まれ、工作好きなので、そのうち自宅のコンセント回りを多少いじる機会が来るといいな、と思ってます。
また、もしITエンジニア職が食いっぱぐれた時に、転職するネタにでもなれば…ラッキーですかね。
というわけで、自分の合格体験記です。
第二種電気工事士とは
そもそも第二種電気工事士は何ができるのかを、確認しておきます。
電気工事士の資格には、第一種と第二種の2種類があります。
第一種 第二種の範囲と最大電力500キロワット未満の工場、ビルなどの工事に従事できます。
第二種 一般住宅や店舗などの600ボルト以下で受電する設備の工事に従事できます。
という感じで、第二種では主に自宅や店舗の電気工事をすることができるようになります。
自分所有の持ち家であっても、コンセント回りや配電を無資格では行うことはできません。
(バレなきゃ犯罪じゃないんですよ…じゃなくて、知識が無いと事故や火災の恐れが十分にある作業です)
試験は筆記試験と実技試験があり、それぞれ別の日程で行われます。
実技試験までの時間は一ヶ月程度あるので、筆記試験が終わったら、自己採点を行い、よほど失格になるレベルでもなければ、すぐ練習に取り掛かる、というようなスケジュール感になります。
(筆記の合格確認は実技試験のおおよそ2週間前にならないとわかりませんでした)
もちろん、実技試験の受験票が届いてからでも、十分時間が取れる人であれば2週間程度でマスターできると思いますので、そのへんはうまくやりくりする必要があります。
合格したら、資格証明書の取得を申請しに行って、発行された免許の到着を待ち、それを手にしてようやく工事に従事できる、という流れになります。
第二種電気工事士試験「筆記試験のポイント」で要点を確認してみる
この記事を書くために、色々と見直していたら、このようなページができていたので、先に見ておくと良さそうです。
(おそらく私が試験前に見ていたときにはなかったページだと思われます)
大まかな試験範囲と出題内容が書かれています。
また、CBTテストによる例題を体験できるコンテンツがあるので、試しに見てみると良いでしょう。
試験申し込み
試験の申し込みはインターネット経由がよいでしょう。
アカウントを作成して、試験区分をよく確認した上で申し込みを済ませます。
試験会場の選択はもちろん、当日遅れないようにたどり着けるようにしましょう。
受験票はおおよそ試験前2週間ごろに届き、そこに受験会場と日程が記述されています。
左が筆記で、右が実技の受験票です。こんな感じのはがきが届きます。
私は現在長野県在住なのですが、試験会場がビッグハットでした。
自宅からは山を超えなければいけない距離で、午前中の試験だったため、長野市にホテルをとって前泊しました。
都内であればアクセスもよく、いろいろな場所で行われるので不便は少ないかもしれませんが、受験票を受け取って、会場と日程がわかったら、前泊の検討とホテルの予約も早めにしておきましょう。
筆記試験に向けて
まずは筆記試験を突破しなければなりません。
私はテキスト一冊とネット上のコンテンツを利用して勉強しました。
やはり紙の書籍はいいですね。電子書籍よりは物理書籍派です。
ちょっと重いですが、パッと開いてパッと閉じて、バッテリーを気にせず、雑に扱っても(破れはするものの)壊れるわけではない。
なんとなくランキングで選びましたが、この書籍が鉄板のようです。
他の出版社のものでも、それほど遜色ないでしょう。
書店で立ち読みできるなら、少しめくってみて、自分に合いそうなものを選べば良いでしょう。
過去問題と解説の取得
過去問題は試験の公式サイトよりダウンロードできるので、時間が許せば全年度分、少なくとも5年分くらいは遡って取り掛かりましょう。
せっかくなので、筆記も実技も両方ダウンロードしてしまいましょう。
個人的な勉強方法として、試験問題をプリントアウトして、解いていきます。
無料で見られる教育コンテンツ
工具メーカーや有志、個人が試験に役立つ教育コンテンツを公開してくれています。
書籍や研修会に費用を掛けずに、これだけでも十分合格できるほどに情報量があるので、ぜひ利用させてもらいましょう。
「HOZAN 第二種電工試験の虎」の教育コンテンツ
工具メーカーであるHOZANのサイトには試験対策の教育コンテンツが公開されています。
動画や模擬問題による学習ができるので、わかりやすく、実践的です。
日本エネルギー管理センター事務局 – YouTube
動画で一問ずつ丁寧に解説してくれています。
正直ここだけ見ていても良いくらいに丁寧に、細かく回答のポイントを解説してくれています。
筆記試験を受ける
はい、がんばりましょうw。
当日のコンディションは良好に、遅刻しないよう会場に向かいましょう。
持ち物も受験票をよく確認して、忘れ物がないように。
そのような部分でキチンとできない人は、実際の工事や作業で事故を起こします。
そうゆうつもりで物事には取り組みましょう。
合否の確認
合否は「合格者受験番号検索」サイトにて確認できます。
しかし、結果が公表されるのはおおよそ実技試験2週間前くらいとなるため、結果を待ってから実技試験対策を行うと少し時間が足りなくなるかもしれません。
試験後にはHOZANのサイトなどでも解答速報が流れるので、自己採点で合否を判断しましょう。
おおよそ6割がボーダーで、50問中の30問を正解していれば突破と見て良いでしょう。
試験から一ヶ月後くらいに合否通知と実技試験の受験表が届きます。キチンと確認しましょう。
実技試験向けて
実技試験では持ち込みの工具と当日配布される材料を使い、出題される回路を構築します。
実技はネット上の記事や動画だけでも十分学習できるくらいに情報が豊富なので、練習していて、もっと解説が欲しいな、と思ったら買ってみる、くらいで大丈夫です。
受験の申し込み時点では実技試験までの時間がかなりありますが、もし自信とお金に余裕があるならば、筆記試験に取り組む時点で、工具と練習用材料を注文してしまったほうが良いかも知れません。
合格が確認できるまで待ってから注文したのでは到着までの時間で練習時間が足りなくなるかもしれませんし、在庫切れで注文できない可能性も考えられます。
十分な練習時間が取れる状態を万全にしておきましょう。
工具を用意する
実技試験では、指定の工具を持ち込み、受験します。
何も持っていないひとは、工具セットが販売されているので、これが手っ取り早くてよいでしょう。
ここで、上記の商品について、私は「DK-26」(P-929VVFストリッパーが入っている方)を購入しました。
「P-958VVFストリッパー」は結構な人がおすすめしているだけあって、安いのに被覆向きも輪作りもこれ一本で正確に対応できます。
しかし、私としては「P-929VVFストリッパー」をおすすめしたいです。
このストリッパーは、輪作りをすることはできないものの、とにかく簡単に素早く、正確に被覆を向くことができます。
実技試験の作業で一番多いのは被覆向きなので、ここの時間を短縮できるのは大きいです。
ただし、結構高価なものなので、予算が厳しければ「P-958VVFストリッパー」を選ぶのもよいでしょう。
輪作りに関してはこちらを使うほうが簡単です。
個別に工具を揃えるなら
もし、個別に工具を揃えるなら、最低でも次のものを用意すればいいと思います。
- プラス・マイナスドライバ
- 電工ナイフ(カッターナイフでも可)
- ペンチ
- メジャー
- VVFストリッパー
- リングスリーブ圧着工具(JIS規格)
上記の工具セットにはウォーターポンププライヤーが含まれていますが、実は、これは無くても問題に対応できます。
公表問題のなかで、ボックスに電線管を取り付ける時のナットの締付けに使用しますが、これは手で強くねじ込めば、欠陥にならない程度の締め付けが可能です。
ナットを指で持ち固定して、ねじ込めば十分です。
もちろん実際の施工では工具を使って締め付けたほうがよいですが、試験の合格ということであればそれで十分です。
(今後、出題される問題では必須になる可能性があるので、受験前には公表問題をよく確認してください)
ストリッパーがあれば電工ナイフはいらなそうですが、VVRケーブルがうまく剥けないときや、被覆が残ってしまったのを切り飛ばすためにあると良いと思います。
器用さに自信があるならば、普通のカッターナイフでもいいとは思います。
他にも買い揃えて便利な工具を増やしてもいいですが、試験は卓上で行われるため、あまり多くの工具を出すと、邪魔になって取り回しにくくなります。
極力最低限の工具でスマートに作業できるように練習しておくとよいでしょう。
公表問題を練習する
実技試験で出題される問題は予め公表されている13問から出題されます。
その練習をするための材料が必要です。
これらの材料は、ホームセンターでも個別に売っているものばかりなので、もしかすると、一個一個揃えたほうが安く上がる可能性があります。
しかし、必要なものすべてが揃うとも限りませんし、置いてあってもメーカーが異なるかもしれません。
ここは素直に材料セットを購入するのが良いと思います。
「n回分」というように、何周かできるセットもあるようですが、一周分で十分だと思います。
一周もすれば十分な実力はつくと思いますし、ほとんどの部品は練習で作った作品を分解すれば再利用できるからです。
このとき、電線とリングスリーブは再利用できない材料となるので、もし練習が足りないと思ったら、ご近所のホームセンターで調達してくるとよいでしょう。
失格になる欠陥
実技試験の成果物において、欠陥(施工不良)があると、合格には至りません。
一発でアウトになる不良や、複数個でアウトになる(禁忌肢問題みたいな感じでしょうか)があるので、丁寧な施工が求められます。
公式に欠陥の判断基準が公開されていますが、ここを頑張って読まなくても、参考書や動画などで解説されている箇所を気をつけていれば問題ありません。
時間配分
40分間の試験時間のうち、30分以内に完成まで持っていければ、残り時間で最終確認と修正の時間に費やせます。
これくらいのペースが出せるまではとにかく練習を重ねましょう。
基本的には、参考書や動画に習っていれば、手が慣れてくるので、公表問題を一周する頃には、30分以内には完成できるようになってきます。
それでも時間が足りないという人は、自分の作業を一挙手一投足見直してみてください。どこかに無駄な動きがあるはずです。
鬼門の輪作り
学習を始めると、輪作りという作業が難しいということがよく言われることに気が付きます。
個人的な意見ですが、たしかにすべての作業の中でこれが一番気を使わなければならないと思います。
主に、ランプレセプタクルまたは露出形コンセントの施工時に行う作業ですが、輪が小さいとネジが入りませんし、大きくてはみ出すと欠陥になってしまいます。
私は専用工具のP-958VVFストリッパーを買わなかったので、ペンチでやりました。
動画を見ているとP-958があれば素早く正確に作れるようですが、やはり慣れが必要な作業なので重点的な練習が必要かと思われます。
輪作りは練習後に切り出したケーブルを再利用して行うとよいでしょう。
練習した後、再利用のために作品を分解すると、当たり前ですが切り出したケーブルだらけになります…。
もったいないので輪作りの練習用に使いましょう。
無料で見られる教育コンテンツ
筆記同様に、ネット上のコンテンツを参考にしましょう。
実技は動画を見て、習うのが一番良いと思います。とにかく、習って、手を動かして、慣れる。です。
日本エネルギー管理センター事務局
筆記の際にもお世話になりましたが、正直ここだけ見ていれば十分なんじゃないかという感じなくらいに詳しくわかりやすい説明をしてくれます。
あにまる電工
ザッピングしていたら見つけたのですが、被り物と親しみやすい話し方のユニークなYouTuberさんです。
フリーランス電気工事士?としてお仕事をしている人みたいです。
試験対策の話や、直接試験には関係ありませんが、知識として実務に関する面白い小話などもアップロードしているので、興味があれば見てみてください。
実技試験を受ける
はい、筆記同様にがんばりましょうw。
当日のコンディションは良好に、遅刻しないよう会場に向かいましょう。
持ち物も受験票をよく確認して、忘れ物がないように。
今回は工具の持ち物があります。前日にキチンと動作するか、壊れていないか確認しましょう。
重ねていいますが、そのような部分でキチンとできない人は、実際の工事や作業で事故を起こします。
そうゆうつもりで物事には取り組みましょう。
合否の確認
合否は筆記同様に「合格者受験番号検索」サイトにて確認できます。
ただし、結果がでるのは試験からおおよそ一ヶ月ちょっとかかります。
もうここまで来たら、合否を待つしか無いので、もう試験のことは忘れましょうw
忘れたころに、合否通知が届きます。
「あなたは、令和3年度第二種電気工事士試験の結果 合 格 となりましたのでお知らせします。」
やったぜ。
第二種電気工事士免状の交付申請
無事、合格していたら、免状の交付申請へ向かいます。
申請は各都道府県の担当窓口で受け付けるとのことなので、各自お住いの役所を確認して向かってください。
必要なものもそこに書かれていると思いますが、
- 「第二種電気工事士免状交付申請書」をダウンロードして記入する。
- 合格証明書(合否通知のはがき)
- 住民票(住基ネットで確認して貰える場合は不要)
- 写真2枚(4cm X 3cm)
- 交付手数料
上記を用意して向かいました。
手続きを追えると、私の場合は手元に届くまではおおよそ一ヶ月程度かかると言われました。
免状の受領
(まだ手元に免状が届いていません…)
これで晴れて私も第二種電気工事士です!
電気工事を行う際はこれを携帯していなければなりません。
まとめ
割と簡単な試験ですし、高校生や大学生くらいであれば余裕で取得できると思います。
暇を持て余している学生なんか、取得してしまうのも面白いかと思います。
(資格を活かす機会があるかどうかはともかく、興味があれば教養のつもりで受けてみるのも面白いですよ)
それでは、この記事がこれから資格を取得しようと思っている人の助けになれば幸いです。